医療のおはなし メディトーク

春の不調と漢方治療(高知新聞 医療のお話 メディトーク 2017/3/13掲載)

この季節、春の陽気を感じますね。陽気というのは暖かいですから、ふわふわ上がる性質があります。これと同じことが体の中でも起こり、春特有の不調や病気を引き起こすと漢方医学では考えています。

体の中に潤いを与え、過剰な活動を鎮める働きがあるものを「津液(しんえき)」もしくは「水(すい)」と言いますが、これが不足すると乾燥や不要な熱が生じます。熱は上に上がりますので、のぼせやめまい、耳鳴り、花粉症など体の上部での症状が目立って現れます。また過剰な活動を鎮める働きが落ちることで、高血圧、甲状腺機能亢進症、更年期症候群、不眠、動悸などの症状が現れます。乾燥によるものでは、アトピー性皮膚炎、ドライアイなどの悪化も多く見られます。

診察すると舌の苔がなくつるつるしていて、色はくすんだ赤みを帯び、裂け目がある、脈は力が弱く速い、おなかの脈がどくどくと強く打つなどの特徴が見られます。

治療では、熱を冷ます漢方薬や「水」を補う漢方薬を用い、症状を癒やしていきます。