今月の一言

10月

夏目漱石が面白い

夏目漱石の作品では、「坊ちゃん」「こころ」以外は読んだことがなかった。「それから」は森田芳光監督の映画を観に行ったけど、小説は途中で挫折した。

急に「吾輩は猫である」を読んでみたくなり、今読んでいる。これが、おもしろい。

特に猫の描写が笑える。雑煮の餅を食べたが、歯にへばりついて取れず、それを何とか取ろうとしてジタバタするくだりなど、声を出して笑ってしまった。

100年以上前に書かれた小説ではあるが、さすが漱石先生、現在でも全く色あせていない。

この小説の登場人物で猫の飼い主である苦沙弥(くしゃみ)先生は、明らかに漱石自身である。この苦沙弥先生は胃潰瘍で、実際、漱石もそうであった。

当時はH2ブロッカーやプロトンポンプインヒビターなど胃酸を抑える薬は無く、漱石は胃潰瘍による大出血が原因で、49歳で亡くなっている。

現代の医学の薬剤を使えば漱石はもっと長生きができ、もっと多くの作品を残してくれていたと思う。

しかし、胃潰瘍以外にも多くの病に苦しんだ結果、素晴らしい作品を創作できたと考えるとすれば・・・。

これからも、漱石を読んでいきたい。