医療のおはなし メディトーク

「不妊症」の漢方治療(高知新聞 医療のお話 メディトーク 2015/2/09掲載)

女性の「不妊症」の治療法は、タイミング療法、人工授精、体外受精など様々ありますが、漢方治療もその選択肢のひとつです。

「不妊症」とは、何らかの治療をしないと、自然に妊娠する可能性がほとんどない状態をいいます。特に病気のない健康な男女が妊娠を希望し、避妊をせず夫婦生活を営むと一定期間内(一般的には2年)に多くの方が妊娠しますが、一定期間を過ぎても妊娠しない場合、自然に妊娠する可能性は低くなり、「不妊症」と診断される場合があります。不妊症のカップルは10組に1組とも、5組に1組とも言われています。

漢方では、女性不妊症の場合まず月経を整えることを重要視します。不妊の原因としてまず挙げられるのが、「肝腎不足(かんじんふそく)」です。「肝」は血の貯蔵を主り、「腎」は生殖を主るとされ、非常に重要な役割を果たしています。そのため、不調をきたすと不妊症の原因となります。治療としては「肝腎」を補う漢方を使用します。

また、「水(すい)」の流れが悪くなった状態も不妊症の原因になります。これは過食により胃腸の機能が低下した結果生じます。むくみがある方はこれが疑われます。この他「血(けつ)」が不足したり、ストレスなどにより「気」の流れが阻害されると、妊娠しにくくなることがあります。「血」の滞りも、子宮内外の血の流れを低下させ、不妊症の原因になります。