医療のおはなし メディトーク

漢方薬はどうやって選ぶの?(高知新聞 医療のお話 メディトーク 10/16掲載)

西洋医学では、「症状」や「病名」に対して、もしくは血液検査などの「検査結果」などに基づいて処方薬を決定します。では、検査の技術などが未発達の古来より、あらゆる病を癒してきた漢方薬は、何に基づいて処方されているのでしょうか?

まず重要なのは、見る・聞く・触れる・嗅ぐなど、五感を使った診察法です。漢方では詳しい問診に加え、舌の状態を診る「舌診」、両手首で6部の脈の状態を診る「脈診」、腹部を押して不快感や圧痛を診る「腹診」、またツボを押した時の反応や、声の調子、においや顔色を診るなど独特の診察を行います。不思議に思われるかもしれませんが、舌や脈を診ることで体の中で何が起こっているのかを診断することができます。

五臓のどこでどんな病が起こっているか、またその病の浅さ深さも診断できます。こういった診察法は、身体が発しているあらゆるサインを読み取る診察法と言えると思います。「頭痛には痛み止め」「風邪には感冒薬」「不眠には睡眠薬」「アレルギーには抗アレルギー薬」といった対処療法だけではなく、漢方は根本治療を目指すことができます。

漢方では、五臓六腑や「気」・「血」・「水」などが、どのように不調をきたしているのかを全体としてとらえます。その上で体質も含め総合的に判断し、患者さんそれぞれに合った漢方薬を決定して、根本的な治療を目指します。

最近ではドラッグストアなどでも漢方エキス製剤が市販されていますが、体質や症状、原因に合わないものを選んでしまう可能性もありますので、注意しましょう。気になる症状がおありの方は、まずは宮川漢方クリニックにご相談ください。