今月のひとこと

アトピー性皮膚炎の漢方治療(高知新聞 あしすと健康アドバイス 2012/10/1掲載)

アトピー性皮膚炎は、体質や皮膚の生理機能の異常、アレルギー、ストレスなど、さまざまな要因で発症します。食生活の乱れや運動不足、睡眠不足など、日頃の生活習慣も大きく関与し、自分の持っている「治す力」の容量を超えたときに、アトピーが発症するとも考えられています。

漢方治療は、患者さんの体質を見極め、全体の調和を整えるものです。陰と陽のバランスを取り、「治す力」を高めることで根本治療を目指します。ひと口にアトピーといっても、カサカサしたもの、熱を帯びグチュグチュしたもの、赤味の強いものなど、症状はさまざまで、それぞれに応じた漢方薬を選択します。

反復して発症しやすいアトピーは、長期的かつ根本的治療が必要であり、漢方薬は症状緩和と治療に適しているといえます。

ただ、アトピーは薬物による治療だけで解決できる疾患ではありません。食生活の改善、環境や衛生条件の改善、ストレスの解消、皮膚の保護などにも配慮が必要です。甘い物やスナック菓子、化学調味料などの摂取は控えましょう。また、睡眠は十分にとる必要があります。夜10時には寝るのが理想的です。

その他、皮膚を清潔にしてしっかりと保湿するスキンケアを続けることも、アトピー治療の基本となります。症状に応じてステロイド外用薬、タクロリムス軟こうを用いた西洋医学の対症療法も効果的です。副作用を心配される方も多いですが、重症の場合にしっかり使い、症状が治まってきたら徐々に減らしていくという適正使用をすれば、非常に効果的な薬です。「かゆくて眠れない」という本人のストレスや、「子どもが掻いてしまうから・・・」と一晩中さすってあげているという家族のストレスを軽減してくれます。

ステロイド外用薬の適正使用、つまり正しい塗り方、正しい減らし方は、医師の指導をしっかり受ける必要があります。