知って安心!くらしの医学 メディカルチェック

「季節の変わり目」と漢方治療(高知新聞 知って安心!くらしの医学 メディカルチェック 2021/3/1掲載)

この季節、春の陽気を感じます。陽気というのは暖かいですから、ふわふわ上がる性質があります。これと同じことが体の中でも起こり、春特有の不調や病気を引き起こすと漢方では考えています。

体の中に潤いを与え、過剰な活動を鎮める働きがあるものを「津液(しんえき)」や「水(すい)」と言いますが、これが不足すると乾燥や熱が生じます。熱は上にあがりますので、のぼせやめまい、耳鳴り、花粉症など体の上部での症状が目立って現れます。また過剰な活動を鎮める働きが落ちることで、高血圧、甲状腺機能亢進症、更年期症候群、不眠、動悸などの症状が現れます。乾燥によるものでは、アトピー性皮膚炎、口の渇き、ドライアイなどの悪化も多く見られます。

診察すると舌の苔がなくつるつるしていて、色はくすんだ赤みを帯び、裂け目がある、脈は力が弱く速い、おなかの脈が浮いて触れるなどの特徴が見られます。

治療では、熱を冷ます漢方薬や「水」を補う漢方薬を用います。