医療のおはなし メディトーク
「運動」の重要性 ‾漢方医学の視点から‾(高知新聞 医療のお話 メディトーク 2015/5/18掲載)
生活習慣病(糖尿病、脂質異常症、高血圧症など)の予防と治療に、「運動」が大切であることは言うまでもありませんが、最近では認知症の予防や改善にも有効であることがわかってきています。また、ロコモティブシンドローム(ロコモ)を予防する上でも運動は重要です。
漢方では滞る(とどこおる)ことを良しとしませんので、運動して巡りをよくすることは非常に重要です。例えば「水(すい)」の滞りは糖尿病や脂質異常症を招きますし、「水」・「気」の滞りは高血圧症の原因になると考えられます。また「心(しん)」の「気」・「血(けつ)」が滞ると、精神活動や思考活動が低下してしまい、認知症と同様の症状が現れます。
漢方では、「肝」が筋肉を、「腎」が骨をつかさどると考えますが、運動によって「肝」・「腎」の巡りを良くすることで、筋肉や骨を鍛えることができます。
それぞれの滞りを解消し、巡りを良くする漢方薬の服用に併せて、「運動」を積極的に日常に取り入れましょう。