医療のおはなし メディトーク
「便秘」の漢方治療(高知新聞 医療のお話 メディトーク 9/10掲載)
便秘とは、3日以上便通が無い、排便に時間がかかる、便の質が硬い、残便感があるなどの症状を言います。
漢方的にその原因を分類してみましょう。
(1)体に熱がこもっていることによるもの。赤ら顔、口の乾き、ニキビなどを伴う場合があります。
(2)「気」の滞りによるもの。気が滞ると胃腸の動きが悪くなり、便秘が起こります。ストレスを受けやすい人に多い傾向があります。
(3)「気」の不足によるもの。慢性疾患や手術、出産によって「気」が消耗されると起こる傾向がります。
(4)「陽」の不足によるもの。体質的に冷え症の人や、冷たい物の摂り過ぎで起こる傾向があります。
(5)「陰血(いんけつ)」の不足によるもの。体内を潤す「血(けつ)」や「津液(しんえき)」の不足、出血性の疾患後、あるいは高齢者の便秘にこの傾向があります。
ちなみに漢方的には「肺」と「大腸」は「表裏の関係」にあり、咳や喘息に対し、便通を良くすることで症状の改善を認めることもあります。漢方の興味深い側面です。