知って安心!くらしの医学 メディカルチェック

「脾(消化器系)」の不調と漢方治療(高知新聞 知って安心!くらしの医学 メディカルチェック 2022/1/10掲載)

消化器系は漢方では「脾(ひ)」といいます。「脾」は飲食物を消化吸収し、全身に運ぶ働きがあります。その他「水」を運ぶ働き、臓器や「気」を上に持ち上げる働き、血管から「血(けつ)」が漏れ出すのを防ぐ働きなどがあります。

「脾」の不調は、倦怠感、手足がだるい、味覚障害、唾液の過剰や過少、食欲不振、胃もたれ、胃の痛み、冷え、下痢や便秘、脱肛や子宮脱、不正出血などの症状が現れます。

また「脾」の機能の低下により「水」のめぐりが悪くなると、「痰(たん)」を生じ、喘息などの呼吸器系の異常のほか様々な症状が現れます。

「脾」は食べ物から生命力を補うことから、「後天(こうてん)の本(もと)」と言われます(先天の本は「腎」です)。

日頃から、水分の過剰摂取や早食いを控え、空腹を感じてから食事するように心がけましょう。また、冷たい物をひかえ、運動して手足をよく動かすことも大切です。治療にはそれぞれ体質に合った漢方を選びます。