医療のおはなし メディトーク

漢方診察の特徴「腹診(ふくしん)」〜お腹を診る〜(高知新聞 医療のお話 メディトーク 2014/2/10掲載)

「腹診」は診断の根拠となる非常に大切な診察方法です。

西洋医学的な診察でも腹診を行いますが、これは腹壁の上から内臓の様子を探ることが主な目的です。対して漢方の腹診では内臓の様子のほか、皮膚や筋肉の張り具合や硬さ、しこりの有無、圧痛や不快感などを診察し、全身の「気」・「血(けつ)」・「水(すい)」の状態を把握することが目的となります。「頭痛で来ているのに、お腹を押すの?」と驚かれる方もありますが、腹診は病気の原因を探るうえで、かかせない診察法なのです。

例えば脇腹を押した際に痛みや不快感があれば、これはストレスの強いことを表しています。また、みぞおちが硬く張っており、痛みや不快感がある場合には、胃炎など胃に不調があることが疑われ、胃痛や食欲不振を訴える方によく見られる状態です。胃の中でぽちゃぽちゃと音がするような場合は、胃腸機能の低下や余分な「水」の存在を示唆しています。

おへその周りを押した時にこぶのような結節の存在が認められる場合は、「血」の巡りの悪いことを表しており、月経不順や月経困難症、あるいは関節痛などの「痛み」の症状を訴える患者さんに多くみられます。おへその上を押した時に強い拍動を感じる状態では、「気」の異常な上昇を表し、不眠症やめまい、頭痛、肩こりに悩まれる方などに多くみられます。

腰痛や排尿障害のある方、疲労感の強い方、不妊症の方では、下腹部を押した時に力がなく、ふわふわとしてへこみやすい状態がよく見受けられ、これは「腎(じん)」の不調を表しています。このほかにも、腹診ではたくさんの情報を得ることができます。さらに「問診」、「舌診(ぜつしん)」、「脈診」を組み合わせて診断し、漢方薬を処方します。